精油の利用法
単純芳香浴
精油を温めて揮発させたり、希釈して噴霧することで、手軽に精油の香りを楽しむと同時に、有効成分を体に吸収することができます。
- (1) お湯にたらす
熱湯を洗面器やボウル、マグカップなどに入れて精油を適量たらします。香りを楽しみながら、蒸気を吸入することで有効成分の働きを活用します。 - (2) 芳香器具を使う
精油は熱で揮発します。電気やキャンドルで加熱する香炉や、ディフューザーを使うことで香りを持続的に楽しみ、部屋のすみずみまで行き渡らせることができます。 - (3) スプレーを使う
精油を適量の無水エタノールで溶かしてから、精製水で希釈してスプレー容器で噴霧します。手軽に持ち運ぶことができ、いつでもどこでも簡単に芳香を楽しめる方法です。
入浴(アロマバス)
入浴時にバスタブに精油を4~6滴たらして入浴する方法です。浴室は有効成分が閉じ込められるので効率的に芳香浴ができます。精油の有効成分が、鼻、肺、皮膚の3つのルートから浸透するのでアロマバスは効果的なアロマテラピーの手法といえます。
- (1) そのまま精油をバスタブにたらす
最も簡単な方法は精油をそのままバスタブにたらすものです。精油は水には溶けずに表面に浮き上がるので、手でよく攪拌して入浴します。 - (2) バスオイルを入浴剤に使う
精油を植物油と混ぜたバスオイルを使うと、精油がよくお湯になじむと共に、植物油のもつ効用がプラスされるので、有効性が高まります。 - (3) バスソルトを入浴剤に使う
自然塩に精油をたらしてよくまぜたバスソルトを使う方法です。自然塩をお風呂に入れると血行を促進し、疲労回復に役立ちます。また湯冷めしにくくなるという利点もあります。
入浴方法には、全身浴から手浴、足浴、座浴、半身浴とバリエーションがあります。その時の目的や状況によって柔軟に行うとよいでしょう。
オイルマッサージ
精油を植物油で希釈してマッサージオイルをつくり、皮膚に塗りながらマッサージする手法です。精油の有効成分が、植物油を通して皮膚から吸収されやすくなり、心身への作用を高めます。希釈用の植物油のことをベースオイル、キャリアオイルなどと呼びます。精油の濃度はわが国では1~1.5%程度が目安です。(欧米では2~3%ともいわれています)
<適正濃度と希釈方法の例>
50mlの植物油(ベースオイル)で、1%濃度のオイルを作る場合
1% = x(精油の量) ÷ 50ml(ベースオイル)x(精油の量)= 0.5ml
精油の容器は一般的に、“ドロッパー”と呼ばれる1滴=0.05ml ずつ精油をたらすことのできる構造になっています。精油の種類に限らず、1滴=0.05mlとして量を測ることができます。
精油の使用上の注意
精油を入手するときの注意
精油を入手するときは、原料のハーブや果実の学名を確認することが重要です。これは、通称や一般名では、アロマテラピーを目的とする精油とは異なる種類の精油を手にしてしまう危険性があるからです。また、良心的な精油を販売しているメーカーは必ずといってよいほど、わかりやすい場所に学名を明記しています。
精油の内服について
精油は作用が強いため、日本国内では内服を行うことは避けられています。海外での例として、フランスでは医師の管理のもとで精油の内服が行われていますが、欧米諸国でも一般的に普及している方法ではありません。精油の持つ香りの心地よさ、心理的な作用を安心して享受できる芳香浴やオイルマッサージによるアロマテラピーが、一般的な利用者が行うべき手法であるといえます。
妊婦の精油の使用について
精油にはホルモン分泌に関わる作用があるため、妊娠中、特に妊娠初期には母体と胎児の安全のためにマッサージ等による精油の使用を控えるべきでしょう。
乳幼児への精油の使用について
3歳未満の乳幼児には芳香浴(室内に香りを焚く)以外はおすすめしません。オレンジなどの柑橘系のやさしい香りにして、香りが強すぎないように注意しましょう。
パッチテスト
精油をオイルマッサージや塗布などの方法で皮膚に用いる場合には、アレルギーテストの目的でパッチテストを行います。パッチテストの方法は、使用する濃度の2倍で前腕部の内側に塗布し、絆創膏などで保護して48時間ほど様子を見ます。
かゆみや痛み、発赤、腫れなどが起きたら、その精油の使用は控えましょう。また、ごくまれに精油ではなく、植物油にアレルギーを起こす人もいるので、ベースオイルだけでパッチテストを行うとより安心です。
ケモタイプ
ケモタイプとは化学種と訳され、同一学名の植物であっても生育する土壌や太陽光線の量、水質、気温などの条件の違いから、その植物から抽出される精油成分が標準よりも著しく異なるものを指します。したがって、ケモタイプの場合は含有成分の特徴を知り、目的に応じた使い分けをすることが必要です。
(例) タイムのケモタイプ
1. Thymus vulgaris ct cineol
(ケモタイプ=シネオール)
2. Thymus vulgaris ct linalool
(同 =リナロール)
3. Thymus vulgaris ct geraniol
(同 =ゲラニオール)
4. Thymus vulgaris ct terpineol
(同 =テルピネオール)
5. Thymus vulgaris ct thuyanol
(同 =ツヤノール)
6. Thymus vulgaris ct thymol
(同 =チモール)
7. Thymus vulgaris ct carvacrol
(同 =カルバクロール)
ct とはケモタイプを意味しています。その後に続く箇所が、含有量の多い成分を表します。フェノール類のチモール、カルバクロールといった成分が含まれるタイム精油は、皮膚に用いることができませんが、リナロールやゲラニオールなどはアルコール類であり、皮膚や肝臓に対する毒性もなく、オイルマッサージにも用いることができます。
精油の保存方法について
精油や植物油を保存するうえで最も注意したいことは、「酸化」による品質の劣化です。紫外線や高温、酸素によって、精油や植物油は酸化反応をします。精油や植物油は、遮光性を持ったガラス容器に入れ、フタをしっかりと閉めて冷暗所で保存しましょう。
精油の安全性
精油成分の構造と毒性との関係
精油に含まれる成分(有機化合物)は、主にC(炭素)とH(水素)とO(酸素)から成り立っており、その元素同士の結びつき方によって炭化水素類からオキシド類まで12種のグループに分類することができます。
たとえば、サイプレスやジュニパーの精油に含まれているピネンという成分は、モノテルペン炭化水素類のグループに入り、したがって毒性はないと考えられるなど、12種のグループを知ることで毒性の目安をつけることができます。
具体的な例を並べると、フェノール類は皮膚、粘膜への刺激と肝臓などの損傷をもたらします。
ケトン類は神経毒、エステル類のサリチル酸メチルは皮膚、粘膜への刺激、オキシド類のシネオールは呼吸器系への刺激を表します。
また、クマリン類の光毒性とは紫外線に対して皮膚の感受性を高めることです。
例としてベルガモットの精油でオイルマッサージをした後に日光にあたると軽いやけどやアレルギー症状を起こすことがあるので、皮膚に使った後、12時間は日光を避ける必要があります。