リフォームや家具のメンテナンスで塗料を選ぶとき、ホームセンターの棚に並ぶ合成塗料ではなく、自然由来の素材を選びたいと思う人が増えている。

理由はシンプルだ。合成樹脂系の塗料は木の表面に膜を張るため、木が呼吸できなくなる。一方、自然塗料は木の内部に浸透し、木本来の調湿性を損なわない。素材としての木を生かしながら保護する、という発想の違いがある。

ここでは、日本の伝統素材から欧州の高品質ブランドまで、自然由来の塗料を分類して紹介する。


日本の伝統素材

柿渋

未熟な渋柿の果汁を発酵・熟成させた天然塗料。平安時代から建築・工芸・染色に使われてきた。

特徴

  • 抗菌・防虫・防腐・防水効果
  • 塗るたびに経年で色が深まる(日光に当たると発色が進む)
  • 臭いが強い(無臭タイプも市販されている)
  • 木材・紙・布・コンクリートなど幅広い素材に使用可能

使い方のポイント 刷毛で薄く塗り、乾燥させてから重ね塗りする。防水性をさらに高めたい場合は、上から荏油や蜜蝋ワックスを重ねると効果的。古民家の柱や外壁、家具に向く。

入手先


蜜蝋ワックス

ミツバチの巣から採れる蜜蝋と植物油(荏油・亜麻仁油など)を組み合わせたワックス。自作もできる。

特徴

  • 撥水性・防汚性
  • 木の質感をそのまま生かす自然な仕上がり
  • 安全性が高く、子どもの木製玩具にも使用可
  • 定期的なメンテナンスが必要

使い方のポイント 布で薄く塗り込み、乾燥後に磨く。フローリングより家具・建具・壁材向き(床は滑りやすくなるため注意)。

入手先


荏油(えのき油)・亜麻仁油

荏胡麻や亜麻の種から搾った乾性油。空気に触れると硬化し、木を内側から保護する「オイルフィニッシュ」の基本素材。

特徴

  • 完全自然素材、食品レベルの安全性
  • 木の呼吸を妨げない
  • 乾燥時間が長い(24〜48時間)
  • 単体では撥水性が低め

使い方のポイント 柿渋の上塗りとして使うと撥水性が高まる。自作蜜蝋ワックスの原料としても使える。

入手先

  • 食料品店・自然食品店(荏油)
  • ホームセンター塗料コーナー(亜麻仁油)
  • 価格目安:500ml 約1,500円〜

ドイツ発の自然塗料ブランド

欧州、特にドイツは自然塗料の先進地だ。環境規制が厳しいドイツで開発・実績を積んだブランドは、品質と安全性において信頼性が高い。


オスモカラー(OSMO COLOR)

ドイツ最大手木製品メーカーのオスモ社が140年の歴史を持ち、植物油(ひまわり油・大豆油・アザミ油)と植物ワックス(カルナバ・カンデリラ)を主成分とした木材保護塗料として開発した。特徴や施工の詳細は Flooring-muku「オスモカラーとは」 も参照。

特徴

  • 木の内部に浸透し、塗膜を作らない
  • ひまわり油を主成分とするため、亜麻仁油系と比べて変色しにくい
  • 有害化学物質・シンナー不使用
  • 子ども用玩具の安全基準(欧州EN71-3)に適合
  • 内装用・外装用・フローリング用と用途別ラインナップが充実

主な製品ライン

  • ウッドワックス(室内木部・家具・建具)
  • フロアークリアー(無垢フローリング)
  • カントリーカラープラス(外装木部・防カビ・防腐)
  • ワンコートオンリー(1回塗り仕上げ)

使い方のポイント 専用コテバケで薄く擦り込むように塗る。塗りすぎると乾燥不良になるため、薄く塗ることが重要。拭き取りは不要。

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リボス(LIVOS)

1972年創業のドイツの自然塗料パイオニア。「自然素材でも人体に有害なものは使用しない」という理念のもと、コールドプレッシング法(低温抽出)で搾った亜麻仁油を主成分とする。Iskcorp「リボスとは」

特徴

  • 成分を100%開示する企業姿勢が世界で高く評価されている(Iskcorp「リボスの特徴」
  • 食品レベルの安全性(赤ちゃんが誤って口にしても安全)
  • サラサラした液体で少量でも広い面積に塗れる
  • 日本の気候に合わせた外装用「タヤ」シリーズも展開

主な製品ライン

  • カルデット(室内木部用オイル)
  • タヤ(外装用・高耐候性)
  • ビボス(オイル+蜜蝋ワックス・メンテナンス用)
  • グレイボ(液体蜜蝋ワックス・家具・壁・天井)

入手先


プラネットカラー(Planet Color)

デンマーク発の自然塗料。亜麻仁油ベースでリボスと近い思想を持ちながら、価格帯が比較的手頃。

特徴

  • 亜麻仁油と天然樹脂ベース
  • 内外装対応
  • コストパフォーマンスが高い

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番外:英国ファロー&ボール(Farrow & Ball)

厳密には「自然塗料」ではないが、天然顔料を多く使い独特の深みのある色合いで知られる英国のペイントブランド。インテリアデザイナーやリノベーション好きに根強い人気がある。

特徴

  • 深みのある色と質感(132色のカラーラインナップ)
  • 天然顔料由来の独特の発色
  • 水性塗料で臭いが少ない
  • 価格は高め

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まとめ:用途別の選び方

用途おすすめ塗料
古民家の柱・外壁(伝統的仕上げ)柿渋
無垢フローリングのメンテナンスオスモ フロアークリアー / リボス ビボス
室内家具・建具オスモ ウッドワックス / 蜜蝋ワックス
外装木部(デッキ・外壁)オスモ カントリーカラープラス / リボス タヤ
壁の色づけ(インテリア重視)ファロー&ボール
安全性最優先(子ども部屋・玩具)リボス / 蜜蝋ワックス

自然塗料は合成塗料より価格が高めだが、木の呼吸を活かし、長期的に木材を健康に保つという意味では、コストを上回る価値がある。まずは小さな家具や端材で試し塗りしてから本番に臨むことをおすすめしたい。

自然素材を使ったリフォーム・内装のご相談は Bristlecone(ブリストルコーン) へ。